適切な点検・修繕の実施

■ 外 壁

 外壁は住まいの表情をつくるだけでなく、雨や紫外線、排気ガス等から住まいを守る重要な役割を担っています。また、快適な室内環境をつくるために、熱や光、空気、音などをコントロールしています。その中で外壁は、雨・風を防ぐ重要な部位のひとつです。
軒の出が小さい場合には、外壁に雨がかかりやすく、外壁が傷みやすくなりますので、要注意です。
サイディング
 工場で製作された板状の外壁材(釘やビスなどを用いて間柱などの下地に取り付ける乾式工法)を総称して、サイディングといいます。サイディングは、使用材料によって窯業系、金属系、木質系などに分類されます。
窯業系は、セメント質と繊維質を主な原料としていて、防火性、施工性、意匠性に優れているなどの特徴があります。金属系は、断熱性や遮音性を配慮して発砲樹脂で裏打ちした複合パネルが大半で、防水性、経済性に優れているなどの特徴があります。
○起こり得る不具合

 シーリングサイディングの継ぎ目や、サッシと壁の間などに充填されている弾力のあるゴム状の材料のことです。住宅が地震や風などで変形しても、外壁に隙間ができることや雨漏りすることを防いでいます。のはがれや劣化、サイディングのひび割れや接合部のゆるみなどは、雨漏りの原因になってしまいます。雨漏りが起これば、土台や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を縮めてしまいます。柱などが腐ると、補修にかかる費用も上がってしまいます。
サイディングの表面に凸凹の多いタイプを用いている場合、藻やコケが発生して美観を損ねることがあります。雨水や朝露が付着して日照が不足して乾燥しにくい等の条件が揃うと発生しやすくなります。
大きな地震などの自然災害時には、サイディングがひび割れたり、シーリングという弾力のあるゴム状の材料が切れたりすることがあります。

○症状
窯業系サイディング:色あせ、色落ち、汚れ、カビやコケ、藻、割れ
シーリング:はがれ、ひび割れ、切れ、硬化(弾力のなさ)
金属系サイディング:さび、変形、ゆるみ、汚れ






 

○点検のポイント
住まいの外側から定期的に目視で観察して点検します。サイディング材の継ぎ目には、シーリングが充填されています。シーリングは、サイディング材の継目から水が内部に浸入するのを防ぐ役目をしていますので、シーリングがひび割れていたり、シーリングがサイディングから剥がれていたりしないか、また、サイディング材が色あせたり、色落ちしていないか、点検しましょう。
定期的な点検を行うことで、早期に異常を発見することができれば補修にかかる費用を最小限に抑えることができます。
○対応

 シーリングが、サイディング等から完全にはがれてしまったり、割れてしまっている場合等には、まずは専門家住宅を建てた工務店やハウスメーカー、住宅を分譲した販売事業者のことをこう呼んでいます。
住まいの維持保全の力強い味方です。
に相談しましょう。
また、サイディング材の色あせ・色落ちなどで再塗装をする際には、専門家に依頼し、専用の塗料を使用して塗り替えてもらいます。
外壁が汚れた場合には、窯業系サイディングではブラシやモップで水洗いをします。表面が塗装されているので、ブラシはやわらかいものを使用して、塗膜にキズをつけないよう注意しましょう。金属板・金属系サイディングでは、吸湿性が低いので、少々の汚れは手軽に水洗いで落とすことができます。その際、表面にキズなどがつくとさびなどの原因になりますので注意しましょう。

○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
・窯業系サイディング
5~7年でシーリングの打ち替え
7~8年で再塗装(フッ素樹脂塗料など耐久性の高い塗料の場合には15年以上)
20~25年程度で張替え検討

・金属板・金属系サイディング
3~5年で再塗装(金属板)
10~15年で再塗装(金属系サイディング)

軽微なひび割れや切れ
 シーリングの軽微なひび割れや切れなどは、ご自分で市販のシーリング材をつかって補修することができます。シーリング材はホームセンターなどで購入することができます。
住宅の防水性に大きな役割を果たすシーリング等の部材を補修する時には、住宅の保証や保険の対象から外れてしまうことがあるので、専門家に相談した上で行って下さい。

 

モルタル系
 一般にモルタルを3回程度(下塗り、中塗り、上塗り)塗った上に、仕上げ材として吹付けタイルやリシン(砂粒状の塗料)などで塗装したものをモルタル壁(湿式工法)といいます。モルタル壁は、どのような形状にも適応でき外壁の表情を豊かにするなど意匠的に優れている特徴があります。

 

○起こり得る不具合
モルタルは性質上乾燥収縮によるひびが入りやすく、ひび割れを完全になくすことは難しいです。幅の狭いひび割れは問題が少ないですが、幅0.3mm以上のクラックは長期間放っておくと室内への透水の原因になってしまいますので要注意です。透水が起これば、土台や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を確実に縮めてしまいます。また、補修にかかる費用も上がってしまいます。
最近ではひび割れを発生しにくくする工法なども開発されていますが、下層に耐水合板や防水シートなどの防水層があるので、ヘアクラック(髪の毛のように細い表面的なひび割れ)程度のひびであれば心配いりません。
外壁にボールをぶつけるなどして遊ぶと、モルタル壁が汚れるだけでなくモルタルが破損することがあります。
○症状
色あせ、色落ち、はがれ、汚れ、ひび割れ
○点検のポイント
住まいの外側から定期的に目視で観察して点検します。モルタルのひび割れは全てが危険なわけではありませんが、通常、ひび割れの幅が0.3mm以上になると、そのすき間に水が入り込みさらに大きなひび割れにつながり、水分が内部構造を腐らせるなど悪影響を及ぼすことがあります。ひび割れから、錆の混じった水がでていたり、ひび割れの廻りが変色していたら、ひび割れに水が浸入していることが考えられますので、要注意です。
 ご自分でひび割れのチェックをする場合には、ひび割れの幅と深さを判断するのにプリペイドカードを活用します。一般的にプリペイドカードは厚さ0.25~0.75mm程度ですので、これをひびの部分に入れてひび割れの幅と深さを判断します。ひびの部分にプリペイドカードが1cm以上入るような場合は、すぐに専門家に相談をしてください。また、以前よりひび割れの幅が大きくなったり、長くなったような場合にも専門家に相談をしてください。

 

○対応
幅の広いひび割れを見つけた際には構造体に影響を及ぼすような危険なものか否か、補修を行う必要があるかどうか専門家に相談してください。
外壁が汚れた場合には、仕上げを損傷しない程度に柔らかいブラシなどで水洗いします。ヘアクラックは、放置しておいても問題ありません。しかし、気になる場合にはスプレータイプの浸透性防水材を吹付けるか、もしくは刷毛等を利用してひびが入っている部分に塗りこみます。モルタルの内部に防水材がしみ込んで防水層を作って雨水の浸入を防ぐ効果があります。また、より効果を発揮させるために5~6時間後に再度塗っておきましょう。
○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
3~5年程度でひび割れの部分的な補修
7~10年で部分的な塗り替えや吹き替え
15~20年程度を目安に全体的な再塗装
コラム:あとから抜くエアコンスリーブは要注意
 現在お住まいの住宅に新規でエアコンを取り付ける際には、元々設置してある壁の孔(スリーブ)であれば問題はないのですが、新たに孔を開けて配管(冷媒管、ドレンホース等)を通し、室内機と室外機を接続する場合は要注意です。壁のスリーブには貫通スリーブというポリエチレン製などでできた部材を通し、接合部や貫通部にできたすき間にはコーキング処理やパテ埋めなどを施し防水処理を行いますが、既存住宅の場合、十分な防水処理ができないため、防水上の弱点となります。
設置の際には専門業者に依頼して、スリーブの位置が雨がかりにならないところにし、水漏れが起きないようコーキングやパテ埋めをしっかり行ってもらってください。
通常、壁に中にはグラスウールなどの断熱材や防水シートがあります。雨漏りが起きると、グラスウールが水分を含み断熱性が低下したり、柱などを腐らせてしまったりすることもありますので注意しましょう。


 

下見板張
 一般にワニス(ニス)やオイルステイン、オイルペイント(ペンキ)などで塗装した木板を上下に数センチずつ重なり合うように張ったものを下見板張といいます。下見板張は、木材の持ち味を生かし自然の木の優しさや温かみがあるなどの特徴があります。

 

○起こり得る不具合
木材は雨水や湿気を受けることにより色が落ち腐りやすくなったり、乾燥収縮によって板が反ってきたりします。乾燥収縮によって生じた反りで大きなすき間ができると室内への透水の原因になってしまいます。透水が起これば、土台や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を確実に縮めてしまいます。また、補修にかかる費用も上がってしまいます。
○症状
色あせ、色落ち、すき間、反り、腐朽、割れ
○点検のポイント
住まいの外側から定期的に目視で観察して点検します。オイルステインは木材にしみ込む塗料のため、被膜が弱いです。直射日光や雨などの当たる場所では、木部の色あせや色落ちが早く起こってしまいます。また、木材は雨水や湿気を受けることにより腐りやすくなったり、乾燥収縮によって板が反りすき間や釘の浮きが生じることがあります。
○対応
常に乾燥状態を保てるように留意して、浮いた釘が見つかった際には打ち込みましょう。木材の大きな損傷は取替えが必要となりますので、すぐに専門家に依頼してください。
外壁が汚れた場合には、乾いたタオルなどで軽くホコリを落とし、住宅用洗剤などを利用し汚れが気になる箇所をぞうきんのきれいな面でまんべんなく均一に拭きます。こすり過ぎると、そこだけが変色する恐れがありますので注意してください。
○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
3~5年程度で再塗装
外壁面で手の届く範囲は、表面にひび割れが出る前に塗り替えましょう。ご自分で塗り替える場合には、壁の表面の汚れをよく落とし、市販の塗料を利用して3~5年ごとに行いましょう。塗料はホームセンターなどで購入することができます。また、軽微な割れがあった場合は、パテなどをつめて応急処置をしましょう。
外壁について、自分でできること!
【点検】

サイディング継ぎ目のシーリングのひび割れ、切れがないか。サイディング自体にひび割れや欠けがないか。
モルタルに太いひび割れ(幅0.3mm以上)がないか。
下見板張りの色があせていないか、板同士の隙間やそり、腐ったり割れたりしていないか。

【対応】
サイディング、モルタルが汚れた場合には、表面にキズをつけないように注意して、柔らかいブラシやモップで水洗いする。
手の届く範囲のシーリングの軽微なひび割れは市販のシーリング材を使って補修する。
モルタルの軽微なひび割れが気になる場合にはスプレータイプの浸透性防水材を吹き付けるか、刷毛等を利用して塗り込む。
手の届く範囲で、下見板を留めつける釘が浮いている場合には打ち込む。
外壁が汚れた場合はタオルなどでホコリを落とし、住居用洗剤で拭く。