適切な点検・修繕の実施

■ 屋 根

 日本は、世界的にみて雨が多い地域に位置しています。その中で屋根は、雨を防ぐ最も重要な部位です。基本的に、降った雨はなるべく早く、そしてスムーズに流すことが重要です。
 瓦によって葺かれた屋根を瓦葺きといいます。重量があるため耐震上は不利ではありますが、耐候性、耐火性、遮音性に優れ、熱容量が大きいなどの特徴があります。
○起こり得る不具合
地震や台風・強風、年月の経過などで瓦がずれたり、割れたりすることがあります。瓦の「ずれ」や「割れ」は、雨漏りの原因になってしまいます。雨漏りが起これば、屋根の下地や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を確実に縮めてしまいます。また、補修にかかる費用も上がってしまいます。
○症状
ずれ、割れ



 

○点検のポイント

 住まいの外側や窓(2階の窓から1階の屋根を見る)から定期的に目視で観察して、瓦の配列のずれや割れがないか、点検します。
また、目視ではわからないこともありますので、工務店やメンテナンス業者等の専門家住宅を建てた工務店やハウスメーカー、住宅を分譲した販売事業者のことをこう呼んでいます。
住まいの維持保全の力強い味方です。
に瓦の「ずれ」や「割れ」を点検するよう依頼してください。
定期的な点検を行うことで、早期に異常を発見することができ補修にかかる費用を最小限に抑えることができます。

 瓦は、全てが固定されているわけではなく、屋根面の周囲を除くと、固定されていない瓦もありますので、地震や台風・強風の後は、ずれが生じることがあります。
瓦の重なり具合がずれると、見苦しいだけでなく、そこから雨漏りすることがあります。

 

○対応
雨漏りしていたり、雨漏りがなくとも瓦の「ずれ」や「割れ」を発見したら、すぐに専門家へ点検、補修を依頼してください。
特に日常的な手入れは必要としませんが、瓦の「ずれ」や「割れ」の補修には、瓦の固定、取替え、しっくい塗りなどの方法があります。専門家に依頼しましょう。
○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
15~30年程度で全面葺き替えを検討
屋根の形にも注意して下さい
雨漏りなどにより屋根内部の木材が傷んでしまい、屋根の形が変形してしまうことがあります。こうなったら大変ですので、なるべく早く専門家に見てもらって下さい。

 

化粧スレート
 石や石綿セメント板などの薄板材料を用いて、重ね合わせながら葺かれた屋根をスレート葺きといいます。天然の石もありますが、多くは、セメントに繊維などを混ぜて補強した屋根用化粧スレートが用いられています。軽量で薄い(厚4~6mm程度)ことが特徴です。
○起こり得る不具合
地震や台風・強風、年月の経過などで化粧スレートが浮き上がったり、ガタついたりしてくることがあります。スレートの「割れ」や「はがれ」、「浮き」は、雨漏りの原因になってしまいます。雨漏りが起これば、野地板や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を確実に縮めてしまいます。また、補修にかかる費用も上がってしまいます。
○症状
色あせ、色落ち、さび、ずれ、割れ




 

○点検のポイント
住まいの外側や窓(2階の窓から1階の屋根を見る)から定期的に目視で観察して、スレートが浮き上がったり、がたついたりしていないか、点検します。
定期的な点検を行うことで、早期に異常を発見することができ補修にかかる費用を最小限に抑えることができます。
○対応
雨漏りしていたり、雨漏りがなくてもスレートの「浮き上がり」や「ガタつき」を発見したら、すぐに専門家へ点検、補修を依頼してください。
特に日常的な手入れは必要としませんが、「割れ」、「はがれ」、「浮き」の補修には、差替え、すき間に充填剤をつめるなどの方法があります。屋根用化粧スレートは相当の耐候性があり、褪色しにくいものですが、時間と共に色あせ、色落ちが目立つようになります。再塗装の際には専門家に依頼し、専用の塗料を使用しましょう。
棟板や軒先、棟包、けらばなど、屋根の一部にカラー鉄板を使用している場合は、この部分も点検および再塗装が必要となります。
○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
15~30年程度で全面葺き替えを検討
金属板
 亜鉛めっき鋼板(トタン)、すずめっき鋼板(ブリキ)、銅板などによって葺かれた屋根を金属板葺きといいます。かわら棒葺き、一文字葺き、横葺きなど、金属板の葺き方もいくつかあり、デザインで選ぶことができます。
金属板は、吸水性や透水性がないため、接合部の水密性が十分であれば防水性の高い屋根を葺くことができますが、さびは耐久性を損ないます。

 

○起こり得る不具合
地震や台風・強風、年月の経過などで金属板が浮き上がったり、ガタついたりしてくることがあります。また、屋根の上にごみや落ち葉がたまった状態で放置すると、水はけが悪くなり、雨漏りやさびの原因になってしまいます。雨漏りが起これば、野地板や柱を腐らせてしまい、大切な住まいの寿命を確実に縮めてしまいます。また、補修にかかる費用も上がってしまいます。
○症状
色あせ、色落ち、浮き、さび
○点検のポイント
住まいの外側や窓(2階の窓から1階の屋根を見る)から定期的に目視で観察して、金属板が浮き上がったり、がたついたりしていないかや、錆が生じたり、塗装が色あせたりしていないかを点検します。
定期的な点検を行うことで、早期に異常を発見することができ補修にかかる費用を最小限に抑えることができます。
○対応
雨漏りしていたり、雨漏りがなくとも金属板の「浮き上がり」や「ガタつき」を発見したら、すぐに専門家へ点検、補修を依頼してください。
屋根の上にごみや落ち葉がたまっているのを見つけたら、ホースで水をかけて落とす、さおなどで取り払うなど、屋根に上らずに安全にできる範囲で、ごみや落ち葉を取り除きましょう(危険なので、屋根に上がるなど、無理をして取り除くことは絶対にしないでください)。
亜鉛めっき鋼板の耐久性を維持するためには、色あせ、色落ちやさびが生じる前に塗り替えることが必要です。表面が白っぽくなっていたら再塗装が必要です。再塗装の際には専門家に依頼し、専用の塗料を使用して塗り替えてもらいます。
○補修時期の目安
(維持管理状況や周辺の環境により異なるので、あくまでも目安です)
亜鉛鉄板に塗装している屋根は3年程度で塗り替えを検討
着色亜鉛鉄板(工場で着色加工している鉄板)は初回のみ5年程度。工業地帯、沿岸地域では、一般地と比べると環境が過酷でさびやすいため、1~2年程度で再塗装を検討
コラム:鉄は錆びるものです
住宅には、瓦やサイディングの固定、柱と梁の結合などの他、屋根の下地金物、金属サイディング、基礎の鉄筋、玄関ドア等、数え切れない程、鉄製の建材が使われています。
錆が発生する可能性のある部位に使われる場合には、メッキや防錆塗装が施されてはいますが、環境によっては錆が発生することがあります。
釘や接合金物等、建材をつないだり、固定したりする部分に鉄が使われていることも多く、この鉄に錆が発生すると瓦等がずれやすくなったり、住宅全体の耐震性が損なわれたりします。
こうした事態を避けるためには、雨水や結露により発生した水分を鉄から遠ざけるために、雨漏りの補修や、結露が発生しないような住まい方を心がけることが維持管理段階の最も重要な対策です。
雨樋・ドレイン
 屋根からの雨水を軒樋で受け、縦樋に集めて排水する役割をしているものを雨樋といいます。雨樋は、硬質塩化ビニル製のものと金属製のものがあります。一般的には硬質塩化ビニル製が多く用いられています。
地域によっては積雪によって雨樋がこわれることを防ぐために、冬期期間中雨樋を取りはずす習慣になっていたり、雨樋を付けない地域もあります。
○起こり得る不具合
最も多い不具合は、雨樋にゴミなどがたまり、つまってしまい雨水があふれることです。
硬質塩化ビニル製の雨樋は、金属製のもののようにさびる心配はありませんが、どちらの雨樋も、変形したり、つまったりすることにより雨水があふれ、外壁をぬらしたり、泥をはね返ししたりして、建物を汚損したり、外壁からの雨漏りの原因になったりします。
○症状
つまり、はずれ、ひび、さび
○点検のポイント
住まいの外側や窓(2階の窓から1階の樋、2階の外壁に取り付けられた樋を見る)から定期的に目視で観察して点検します。雨の日に雨水が流れる様子とあわせて雨水が溢れていたり、樋から漏れていたりしないかを点検するとよいでしょう。
積雪のある地域では、雪の重みで樋が傷みやすいので要注意です。
○対応
手が届く範囲のはずれ・ひびなどの軽微なもの以外の補修(雨樋の勾配の補修など)は専門家へ依頼してください。また、その他、作業の中でご自分では危険を伴うものについても、専門家へ依頼してください。雨樋にたまったゴミ、落ち葉、ほこりなどは日常気がついた際に取り除いて、樋がつまらないようにすると共に、年に2~3回定期的に掃除をしましょう。特に梅雨の前、台風の前後、落ち葉の季節の後は注意が必要です。
雨樋の軽微なはずれは、市販の雨樋補修テープや雨樋専用接着剤で補修できます。積雪のある地域では雨樋のお手入れを十分に行いましょう。






 

屋根について、自分でできること!
【点検】

住まいの外側や窓(2階の窓から1階の屋根を見る)から定期的に目視で観察して、瓦やスレートのずれや割れ、浮きやがたつきがないか。金属板が浮き上がり、がたつき、錆びたり塗装の色あせがないか。
雨樋に雨水が流れる様子を観察して、雨水が溢れたり樋から漏れたりしていないか。

【対応】
鉄板屋根の上にゴミや落ち葉が溜まっていたら、水をかけて落とす、竿などで取り払うなど屋根に登らないでできる範囲で清掃する。
安全なところから手の届く範囲で、雨樋に詰まったゴミを取り除く。
雨樋の軽微なはずれに補修テープを巻いて補修する。
コラム:小屋裏点検も重要!

 少し遠くの位置から家全体を眺めてみて、建物全体や屋根を定期的に確認しましょう。雨漏りや不同沈下住宅の建っている地面が部分的に沈下し、住宅が傾いてしまうことです。等により、住宅全体が変形してしまっていることがあります。こうなったら大変ですので、専門家に相談しましょう。
住宅の屋根と天井の間にある空間を小屋裏といいます。小屋裏の点検も雨漏りや木材の腐朽を確認するために大変有効です。天井点検口から点検をしますが、通常の住宅では、押入れの天井が薄い板(合板)になっていて、持ち上げると簡単にずらせるような天井裏点検口となっていることもあります。
懐中電灯を使い見える範囲で小屋裏内の雨漏りの跡やシミ、カビなどを探して、発見した場合には、屋根の補修が必要なことがありますので専門家に相談してください。
点検には危険が伴う場合もありますので、無理をせず行ってください。



 

コラム:太陽光発電装置の設置について
最近の省エネルギー意識の高まりから太陽光発電装置を設置されている方も多くなってきました。太陽光発電を設置する場合には維持管理にも注意が必要です。
・今ある住宅に太陽光発電装置を設置する場合、太陽光発電装置の重量を屋根の上に載せても構造的に大丈夫か、確認が必要です。また、屋根ふき材を傷つけて雨漏りなどがないように、設置方法にも配慮が必要です。信頼の置ける施工業者にこうしたことを確認して設置してもらって下さい。また、施工業者と保証契約を結んでおき、定期的に点検してもらったり、トラブルの際には補修してもらえるようにしておくと安心です。
・設置後は、太陽光発電装置及び屋根のメンテナンスが必要です。地上から目視で確認できる範囲で良いので、屋根ふき材が傷ついていないか、天井に雨漏りしてきていないか、太陽光発電パネルと屋内を結ぶ配線の廻りから雨が浸入してきていないか等、日頃から注意しておき、何かあれば施工業者等へ相談して下さい。