適切な点検・修繕の実施

■ 概 要

構造部材の健康診断
 住宅の基礎、柱、梁(はり)などの大事な構造部材が著しく劣化すると、住宅が倒壊するおそれもあり、安心して住み続けることはできません。
木造住宅は、構造部材が腐朽したり、シロアリの被害を受ける場合があります。鉄骨造の住宅でも、柱などが錆(サビ)て脆くなる場合があります。腐朽の原因となる細菌やシロアリは湿気を好み、雨漏りや結露(けつろ)などにより構造部材が濡れたり、湿った状態が続くことが被害の主な原因となっています。
また、盛土を行った敷地等で、住宅の建っている地面が部分的に沈下する(不同沈下(ふどうちんか)といいます。)と、基礎が壊れたり建物が傾くなど深刻な被害がでる場合があります。
こうした構造部材の被害の兆候に気付き、適切な対策を早期に講じることが重要です。
点検は、住宅所有者が日常的に、可能な範囲で行うとともに、維持保全計画に基づき定期的に実施しましょう。
下のイラストにカーソルをあて、ハイライトする部分には、住宅の維持管理を行う上で大切な点を解説しています。是非、ご参照ください
雨どい バルコニー 屋根 小屋裏点検口 外壁 土台基礎地盤 床下点検口 床下換気口 美しく快適に
手入れをして長く住み続けられる住宅に
 年を経るごとに趣のある美しい住宅となっていくことは理想ですが、一般的には住宅は年を経ると外観、内装、キッチンなどの水回りが汚れてきたり、色あせたり、設備機能が古いものになってきます。住宅をきれいに維持し、機能更新していくことは、居住者の方が快適にすごせるとともに、売買・相続等の際、新しい居住者の方にも、住宅を壊すのではなく使い続けようという思いを生み、住宅が長く住み続けられることにつながります。
構造部材がしっかりしていれば、本来、住宅は長く住み続けられるものです。皆様の住宅も、外壁の塗り替え、内装の張り替え、設備機器の交換など、愛着をもって手入れをしながら、長く住み続けられる住宅としていただければと思います。

<点検>
 屋根の点検では、雨漏りを生じないよう、瓦やスレート、金属板などの屋根ふき材料の欠け・変色等の傷みやずれがないか、雨どいが外れたりつまったりしていないかなどを点検します。平らな屋根(陸屋根)やバルコニーでは、表面の防水層のはがれ等の劣化が無いか、排水口のつまりや水たまり等がないかを診ます。屋根ふき材は、材料の耐久性に問題はなくても、台風や降雪、地震等によりずれたり、壊れたりすることもあります。定期的な点検に加え、自然災害等の後にも点検することが望まれます。
屋根からの雨漏りは、天井の染みなどで分かることもあります。ほとんどの住宅には、天井裏の点検口(小屋裏点検口)が設置されているか、押入の天井が外せますので、点検しやすくなっています。
なお、屋根に上がって点検することは危険であり、かえって屋根を傷めてしまうこともありますので、専門家住宅を建てた工務店やハウスメーカー、住宅を分譲した販売事業者のことをこう呼んでいます。
住まいの維持保全の力強い味方です。
の協力を得ましょう。

<補修>
戸建て住宅の屋根は、下地となる合板の上に防水シートを張り、その上に瓦やスレート、金属板などの屋根ふき材を、くぎ等で留め付けていくのが一般的な作り方です。不具合をみつけた際や、塗装や建材の耐用年数に近づいた際には、状況に応じ、再塗装、屋根ふき材のふきなおし、合板や防水シートの交換を行うなどの補修を行います。

<点検>
 外壁の点検では、雨や湿気が壁内に浸入しないよう、モルタル、サイディング(セメントや金属、木材製の細長い板状の材料)などの壁材にひびわれ、変色、はがれなどがないか、壁の継ぎ目のシーリング材サイディングの継ぎ目や、サッシと壁の間などに充填されている弾力のあるゴム状の材料のことです。住宅が地震や風などで変形しても、外壁に隙間ができることや雨漏りすることを防いでいます。がひび割れたり、切れたりしていないかを診ます。バルコニーと外壁の接点付近は、雨水の浸入が多い場所なので、変色などの異常に特に注意しましょう。また、ガラス戸等のサッシの枠と外壁のすきまや、雨どい(縦管)など外壁に取り付けられた部材の取り付け部分などにもシーリング材が使われていますので、劣化していないか確認しましょう。
台風や、地震等により外壁がひび割れたり、シーリングが切れたりすることもあります。定期的な点検に加え、自然災害等の後にも点検することが望まれます。
また、外壁の内部には、室内外の気温差から結露が生じているおそれがあります。最近の住宅は、断熱性を確保すると共に結露しにくいように配慮していますが、住宅の使用状況などによっては結露が起きる可能性はあります。内装材の染みやカビの発生、壁から床下への水もれなどに気付いた場合は、専門家に相談しましょう。

<補修>
外壁は、下地の軸組や合板を防水シートで覆い、その上に壁材を取り付けている場合が多く、わずかなひび割れなどですぐに雨水が浸入するわけではありませんが、専門家と相談し、シーリングの補修(打ち換え)、外壁のひび割れの補修・再塗装などを行う他、劣化の程度が著しい場合は外壁の張り替え等を行います。
<点検>
床下の点検では、床下の湿気の有無、土台や束、床組材などの部材の変色や、木槌やドライバーによる打診、触診、基礎まわりの蟻道(ぎどう)・蟻土(ぎど)*の有無の目視などにより診て、腐朽、シロアリ、錆等の被害や、設備配管の漏水等の兆候がないかを点検します。
床下は、床下点検口から、又は床下収納庫を外せば点検できるようになっていることが多いです。できるだけ広範囲を、特にお風呂や脱衣室の近くは、湿気が多く注意して点検します。
基礎(住宅の最下部のコンクリート部分)の点検は、床下及び住宅の外から行います。基礎に開けてある床下換気口を、植木鉢や庭の道具などでふさいでいると床下に湿気がこもる原因になります。蟻道や蟻土は、基礎まわりで確認します。
基礎に、内部にいたる深く広いひび割れや、内部の鉄筋がさびた錆汁(さびじる)が垂れるようなひび割れがある場合は、その強度が損なわれている恐れがあります。また、基礎のひび割れや基礎と周囲の地盤との間の様子により、地盤の不同沈下が分かる場合があります。
<補修>
点検結果の判断や、腐朽やシロアリ被害等の対策、基礎・地盤の補強措置などは専門性が高いので、建築した工務店など信頼できる業者と相談しましょう。
*蟻道、蟻土
シロアリは風を嫌うため、コンクリート等の表面に土と分泌物でトンネルをつくり、その中を移動することがあります。このトンネル状の道を蟻道、同様の塊状のものを蟻土といいます。

 

<点検>
屋根・外壁等の材料の汚れ・色あせなど美観上の問題、換気設備の汚れ、電気設備・給湯設備や浴室・トイレ、キッチンなど水回りの機能更新の必要性など、長く快適に住み続けられる住宅のために、建材や機器類の耐用年数などを、取扱い説明書等に基づき点検を行うことが望まれます。
<補修>
維持保全計画には、美観上の耐用年数などから、補修時期を決めている場合もあります。工務店等と相談し、目的に応じた補修等を行ってください。
コラム:足場をかけるにもお金はかかります。
住宅の屋根や外壁には、定期的に再塗装や葺き替えを行う必要のあるものがあります。こうした工事を安全に行うためには作業用の足場が必要です。この足場をかけるにもお金はかかりますので、足場が必要な工事はなるべくまとめておこなったり、足場をかけた時に普段よく見えない外壁のシーリングや、雨樋などの点検を行って必要に応じて補修したりすることが合理的な維持保全のために大事です。
そのためには、予め維持保全の計画をきちんと立てておくことがとても重要になってきます。